広島県産応援登録制度

泣ける!広島県

シンプルな料理ほど実力が試される

食材も料理も常にベストなタイミングで!

我が家のようなおもてなし」のフレーズがぴったりくる広瀬町のラ・セッテ本店。繁華街から外れ、目立った看板も出さないさりげなさがお店のコンセプトにマッチしています。オーナーシェフの北村英紀さんにお話をうかがいました。




北村シェフも広島県産応援登録制度の食材を意識して使っていただいているプロの一人。毎朝、産直市に出かけて、広島県産の新鮮な旬の野菜を仕入れているそうです。中でも注目は「広甘藍」です。

「広甘藍は、春キャベツとは違った特徴のあるキャベツですね。本店では、同じく広島県産のちりめんと合わせたパスタにして提供します。」

パスタによく合いそうですね。やっぱり他のキャベツと加熱時間が違いますか?

「加熱時間は短いです。さっと火を通すだけで軟らかいし、甘味も強いですね」

提供するときは、「幻のキャベツ広甘藍のパスタ」のように、広甘藍と意識して味わってもらえるようにしているのだそう。広甘藍が主に出回る時期は、11月から1月のわずか3ヶ月ほど。超期間限定の味を狙って、食べにきてくださるお客さまが増えますように!

広甘藍は、明治末期から大正の時代は、市場で高い評価を得ていたキャベツでした。しかし当時の日本のキャベツ事情は、効率よく量産するために、病気に強い品種に改良し、大量の農薬を使って作ることが主流になっていきました。広甘藍を作る生産者もいなくなり、絶滅したかと思われていましたが、実は、呉市農業振興センターが広甘藍のタネを保存し、家庭用に苗を配布するなどしてなんとか、絶やさぬよう守っていたのです。
北村シェフは、この話を聞いたとき、料理人としてただ広島で育ったものを使うというだけでなく、タネを残そうという農業のもっと深いところに踏み込んで、農家さんを支えていきたいと思ったそうです。

「私たちは、それをどう伝えていくか… 作り手の思いまで伝えられる料理にしてお客様の口に届けることが使命です」

キャベツは、農薬を使ったか、使わないかが非常に分かりやすい野菜です。カット野菜の定番で見た目の珍しさも華やかさもないキャベツですが、広甘藍を食べたとき、「あれ? このキャベツ何?」と気づいてくれるお客さまが増えてくれるとうれしいですね。
 
シンプルな料理ほど、美味しいと言わしめるのは、なかなか難しいものです。パスタ料理もしかり。家庭でもできそうに見えて、奥が深いものです。ラ・セッテは、普通のおうちの玄関のような入り口を入ると、そこは異空間。厨房からは、広い店内の客席が見渡せるようになっています。厨房から客席までの距離がある分、パスタの茹で上がりやソースの状態を微調整されているのでしょう。

食材も料理も常にベストなタイミングで! そんな一瞬の美味しさを大事にする北村シェフの「幻のキャベツ広甘藍のパスタ」、提供されるその一瞬を逃さず来訪したいと思います。


文/平山友美