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生産者インタビュー

福山市農業協同組合 神石高原ぶどう部会

露地栽培で安定した品質、その理由は?

 人類とブドウの付き合いは非常に長い。その長い歴史の中で、雨や湿度の高い気候を嫌うブドウを日本で栽培するのには、大変な苦労があったと聞く。中でもピオーネという品種、実は気温が低いとうまく作れない、巨峰以上に雨にも弱い、受精しにくく粒が大きくならないうちにバラバラと実が落ちてしまうなど、非常に作りにくい品種と言われていたそうだ。それを神石高原町という高冷地気候の中で見事に育てている人たちがいる。それが福山市農業協同組合神石高原ぶどう部会の生産者たち。知識と経験が豊富なJAの専門営農指導員等の指導や情報提供のおかげもあって、部会員がそれぞれに育てているにも関わらず、大粒で糖度も高く、姿も立派で美しいピオーネが揃う。もちろん露地栽培でこれほど品質も安定したピオーネが提供できるのは、それぞれの生産者のもつ高い栽培技術の賜物に他ならない。
 県内では三次、国内トップのピオーネ産地の岡山県と、近隣にライバル産地がある中、神石高原ピオーネならではの特徴を明確に打ち出している。三次ピオーネとは出荷時期が異なり、三次より遅い9月半ばから12月初旬。少し早めに贈りたい冬のギフトにも対応できる。特徴的なのは、軸の太さとそこに果実がしっかりと付いていること。太い軸は、果実に養分がしっかりと送られる証しでもあり、収穫後もしばらくはこの軸に蓄えられた栄養分のおかげで水分やうま味が抜けにくい。一般的なブドウは、片手で房から簡単に実を取ることができるが、神石高原ピオーネは一粒を取ろうとすると、房が持ち上がってしまうこともあるくらいだ。日持ちがするので、地元では正月にこたつの上でミカンではなく、ピオーネを食べることもあるのだとか。冷凍保存しておいて、どこのブドウも影を潜めている5月ごろに食べるのも、なかなか粋な食べ方である。

ブルームは鮮度の証し

 房づくり、つまり房の形にもこだわるが、そこで何度も手が果実に触れてしまうと、表面を白く覆っていたブルームがはがれてしまう。ブルームとは、果実に含まれる脂質から作られたロウで、果粉とも呼ぶ。水分蒸発を防ぎ、病気から自身を守るために分泌される。ピオーネの場合は漆を重ねていくように黒紫色に染まっていく果実をブルームがしっかり覆っているものが良いというが、房づくりや収穫、出荷作業の過程で、ちょっと手が触れただけでも取れてしまう。できるだけブルームがきれいに残っていることが望ましい。それが鮮度の証しになるからだ。ブルームが取れないようにするために、太い軸の部分だけを持つように・・・と言われて、その通りにやってみたが、ひと房が800gにもなるという神石高原ピオーネだから、あまり長時間持っていると、手がぷるぷるしてくる。筋トレをしたい人には、神石高原ピオーネを片手に一房ずつ持ってスクワットすることをおすすめしたい。

微気象を考慮した高い指導力と栽培技術

 数名の同部会の生産者の畑に案内してくださったJA福山市の江草尚泰さんは、ピオーネの栽培について、神石高原町ならではのアドバイスをする。一般的な参考書などの情報は、関東が基本になっている。外来種であるブドウを日本に合った栽培方法で、日本人の好む食味の食べやすいブドウに育てるために多くの苦労があったというブドウ栽培の歴史を振り返れば、神石高原にはこの地の気候や土壌に合った助言が必要なのは、当然のことだろう。
「同じ神石高原町でも、同じことは言わない」と江草さんは言った。その人の畑の水はどこから来ているか、日はどこに当たるかを考え、あそこに雨雲があるからここは何分後に雨が降るといった微気象まで配慮して、栽培のサポートをしている。同様に、お客さまが見えればその売場に合った提供の仕方も考えてくれる。畑からテーブルまでを見据えて栽培する、きめ細やかなサービスという高付加価値を感じる見事なピオーネである。


文/平山友美
料理/平山友美(神石高原ピオーネと地酒のゼリー)

動画メッセージ

福山市農業協同組合 神石高原ぶどう部会

住所
広島県神石郡神石高原町小畠2206
TEL
0847-85-2511
FAX
0847-85-2792
MAIL
jfk932@jafukuyama.or.jp
代表者
部会長 前原 孝史
担当者
神石高原グリーンセンター 次長 日下博文
創業
平成13年月
面積
2.5ha
従業員
部会員 143名
生産物
ぶどう
情報更新日
令和2年09月10日

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