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生産者インタビュー

株式会社あすなろ

AI、IOTを導入した安定の管理体制

肉厚で歯ごたえはしっかり。それでいてしいたけ特有の香りはなく、淡い味わい。元来「うま味」は水に溶けやすい成分なので、料理の土台となる出汁には複数の素材からのうま味が溶け込む。この生しいたけ「呉大和」は、出汁や肉汁などをうまく吸い込むので、どんな料理にも染まってくれる。そんな菌床栽培しいたけである。
 しいたけは、大きく分ければ野菜の仲間。但し、野菜のように光合成という働きによって自分で養分を合成できないため、動物と同じように他の生き物を食物として利用することでしか生きていくことができない。しいたけの食物とは、倒木等の樹木に含まれる糖質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどである。原木しいたけの場合は、植菌という種菌をほだ木に植え付ける作業以外のすべてを自然に委ねる。ほだ木の中で少しずつ菌糸が伸びて原木となり、しいたけが顔を出すまでに2年ほどの月日がかかる。一方の菌床栽培では、しいたけに必要な栄養分を調整した培地を充填した袋で栽培する。この生しいたけ「呉大和」を生産する「あすなろ」も衛生管理の行き届いたビニールハウス内で袋栽培を行う。天候に左右されることがなく、短期間で安定的に計画生産することができる。
 だから簡単なのかというと、そうとは言えない。なぜなら、栽培の各工程ごとにかなり緻密な管理が必須になるからだ。ここでは開設当初からコンピューターによる温湿度などの管理を行っている。自動で菌床の重さを計測することで水分量を把握し、LINEを活用して現場の状況を確認し合う。

自然との共存、ヒトの働く環境づくり

AI、IOTを導入しながらも自然との共存を目指す。同社のハウスの傍らには、古くから農業用水として利用されている黒瀬川が流れる。しいたけ栽培にとって重要な水は、山からのミネラルを豊富に含む黒瀬川の水を利用している。 
 印象的だったのは、ハウスの天井も高く、周囲の環境も開放的で空気がきれいだったこと。本社事務所を訪ねたときに目にした「全ての人々に働く喜びを・・・」という言葉が思い出された。AIに管理されたハウス内でのしいたけ栽培は、湿った暗いイメージをもつ人も多いだろう。でもそれは大きな誤解だ。ハウス内はしいたけに最適な環境でありながら、ヒトが働く職場としても最適な環境であろうとする配慮が感じられたのだった。

脇役の座を目指した「呉大和」の真意

 菌床は、野菜の畑に当たるものだ。土作りをするように菌床から作る場合もあるが、同社では、品質や数量の安定の意味で、信頼できる国内2箇所の業者から質の高いものを仕入れている。入荷後に洗浄し、そのまま培養できるタイプもあるが、コスト高になってしまうため、自社内で110日の間、熟成させることもある。熟成して十分に菌が回った菌床は、袋を開けて酸素を吸わせたり、適度な振動を与えたりすることで、プリっとしたしいたけが、にょきにょきと生えてくる。それから棚入れ、間引き、収穫、芽切りなどしいたけが顔を出し始めてから出荷までのサイクルが短いので、テキパキと作業を進めなければならない。作業になれた現場のスタッフの手際も良い。見事なチームプレーである。しいたけの需要が伸びる冬場には、1日に300㎏程も出荷することがあるそうだ。

 菌床栽培の生しいたけ「呉大和」は、敢えて脇役の座を選んだ。料理を引き立てる脇役は、香りも味も決して主役に勝ることはない。「呉大和」の名は、しいたけそのものの味ではなく、主役を引き立てる滋味な存在感、趣を意味していたのだった。


文/平山友美
料理/平山友美(あじわいピザ)

株式会社あすなろ

住所
広島県呉市広町4561番地
TEL
0823-71-3113
FAX
0823-71-3114
MAIL
asunaro@asunaro-japan.co.jp
代表者
木村 多加二
担当者
木村 真子
創業
平成27年3月
面積
椎茸…発生棟1棟(429㎡)、仕込棟1棟(132㎡)、熟成棟2棟(385㎡)、加工場(木造2階建198㎡) 葉物…栽培用ハウス 1棟(259.2㎡) 
従業員
30名
生産物
しいたけ
情報更新日
令和元年12月04日

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