上幟町の女学院のすぐそばにあるorage(オラージュ)は、洗練された空間でカジュアルにフレンチとワインが楽しめるお店です。店内に入ると、奥が広い! オープンキッチンになっていて、厨房に立つ2人のシェフらしき姿が見えます。実はその2人ともシェフであり、ここの代表者です。沖田耕二さんと重森累さんにお話を聞きました。
「この前、芸北高原豚のお料理を頂いたのが忘れられません!」と
いきなり切り出してしまいました。実はこの界隈に詳しい友人からイイお店があるから、と誘われてランチを食べにきたことがあったのです。その時にいただきました!芸北高原豚。厚切りなのにしっとりと、仕上がりはピンク色でしたね。
あれは…低温調理ですか?
「まぁ、温度コントロールしていることには間違いありません。でも低温真空調理ではなく、オーブンで仕上げています。」
芸北高原豚との出合いは、食材の調達を頼んでいる業者さんからの紹介だったそう。
「もう見た目から違いますよね。肉質も良い。脂が細かくて香りも違います。例えば特に外国産の豚肉だと、脂のところにケモノ臭を感じることがあります。でも芸北高原豚は、そういう臭みは一切ない。」
そうですね、特に豚肉は、上質なものになればなるほど、脂身の質がイイです。芸北高原豚は、肥育するときに生のパン粉を与えるなど、色々な工夫をされている豚です。融点も低い。だから、火入れが難しい豚とも言えます。それを見事に仕上げているところはさすがです。
「最初はね、冷凍で入ってきたんですよ。でもすごいドリップが出てしまうし、せっかくの地元の食材だから、できればチルドで入れてくれと頼みました。今は曜日次第でこちらの注文のタイミングに合わせて、チルドで入ってきます。」
豚肉となると、と殺後の熟成時間も必要ですから鮮度といっても難しいのですが、そこはやはり広島県産応援登録制度の登録商品。生産者からの情報もしっかり入ります。
例えば本場のヨーロッパで美味しいと評価の高いハムやソーセージは、必ず鮮度の良い豚肉を使います。例え加熱、味付けをするとしても、やっぱりチルドの豚肉を使うと最終製品、最終料理に大きな違いが出るものです。
オラージュのシェフたちの作る料理は、いわゆるヌーベルキュイジーヌの流れをさらに現代に洗練させていったようなお料理でした。フレンチといってもバターやクリームでこってりと味を付けるものは一切なく、どれも素材の味を生かし、見た目にもフレッシュ感を感じさせてくれるものばかり。
芸北高原豚を提供するときも、いつも決まったソース、決まった料理にするわけではありません。その時の旬の食材との調和を考えて、豚肉自体は、脂身をしっかり焼く。赤身のところには火が入りすぎないようにする。そしてソースは、例えば黒にんにくとフォンドボー、炒めた玉ねぎを和えただけのようなシンプルなものをソースに、付け合わせはカリフラワーなど味を邪魔しないものを選びます。
つまりオラージュにやって来る芸北高原豚は、2人のシェフの手にかかるといく通りもの料理に変化していくのです。今月はどんなソースになるんだろうと、毎月通っても楽しめるお店です。
文/平山友美
ジャンル | フレンチレストラン&ワインバー |
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住所 | 広島市中区上幟町10-7 |
TEL | 082-207-4914 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | ランチ11:30~15:00 ディナー17:30~21:30 ワインバー21:30~24:00(日曜除く) |